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京のしらべ その八

東福寺

 長雨のなか鞍馬の火祭りも終わり、京都の山々は紅葉一色になりました。京都駅八条口からすぐのところに「東福寺」がございます。本堂から開山堂への渡り廊下「通天橋」、林の中を流れる渓谷が紅に燃えさかります。それを橋から見下ろす風景は見事でございます。

 盛りを過ぎその谷も落葉で赤く埋まる頃、紅葉を追って洛西へと参りましょう。昔から名所といわれるところはさすが。周山道を上がりながら渓谷にかかる楓の枝が陽の当たるところから紅葉してゆくその山ひだの輝き、高尾から栂ノ尾までの曲がりくねった長い道は、たとえようもない美しさでございます。見頃には人の出も多く、大変な賑わいでございますがそれもまた楽しさの一つ、渓谷へ下り床を張り出した茶屋で湯どうふの鍋を頂く、紬の袖に散るもみじのひとひら、日本の美を思います。そして鞍馬、貴船、大原へと錦の山々が続きます。

 南禅寺から心如堂への散歩道、陽が傾き肩に冷えを感じながら、そろそろお正月「おせち」のことをお話しなければと存じます。「おせち」は京料理の真髄でございます。京都では結婚式のお料理もおせちの杉折の二段重を使います。元旦にはそのまま

 お膳にお出し頂き、お屠蘇を祝って頂きます。

 (周山街道:鯖街道の一つとして若狭と京を結ぶ)